
「推し」の文化
プロ野球は、昨年度、パリーグは観客動員数が過去最高になるなど、観るスポーツとしての人気はある。プロ野球は、最高レベルの野球の技術レベルを観ることができるので、人気があるのはわかるのだが、それと比べてはるかに技術も体力も劣る高校野球が観る人が多いというのが不思議ではある。高校野球よりも数段レベルの高い大学野球のトップの大会である全国選手権大会を観に行ったら、観客席はガラガラで、関係者以外で観戦している人がほとんどいない。社会人の都市対抗も同じような状況。ということはプロ野球もレベルの高いプレーが観たいと思って球場に足を運んでいる人はごく一部で、自分の贔屓の球団の応援をするという要素が強くなっているのだと思われる。そう考えると確かに自分がこどもの頃によく行っていた昭和の後楽園球場(東京ドームではない)では、チームの応援というのは、一部の専門の人が行うもので、一般の人は応援というより観戦が主な目的だったが、今のZOZOマリンのライトスタンドなどは、一般の人が縦ノリで右手を振り上げてマリーンズの応援をしている。スポーツの観戦も、そう意味では最近よく云われる「推し」の文化が強いのであろう。野球についても、高いレベルの凄いプレーやホームランが観たいというよりも、自分の推しのチームの応援に足を運ぶのだ。そう考えると、高校野球よりも大学野球や社会人野球の観客が少ないのも納得がいく。
選手それぞれに青春のドラマがある

そして、技術や体力が劣る高校野球でも、自分の地元や母校という絡みもあって、自分の推しの学校を応援するという点とともに、高校時代という青春の3年間を野球に捧げて懸命に頑張ってきたというドラマが人々の心を打つのだろう。そういう意味では、坊主頭も自分の高校生活を野球に捧げてきたという覚悟の証なので、応援したくなってしまう。
2025年度 夏の高校野球千葉県大会 準々決勝の結果(7/23)
市船橋(坊主)8―1東海大浦安(坊主)
中央学院(NO坊主)6-1敬愛学園(坊主)
八千代松陰(坊主)7-4千葉黎明(NO坊主)
習志野(坊主)5-3四街道(NO坊主)
※注~NO坊主の学校にも個別に坊主頭の選手はいます
2025年夏の千葉大会のベスト8のうち、坊主の学校が5校、坊主ではない学校が3校と強豪校にも高校球児の脱坊主化が進んできていることがわかる。しかし、今日勝ち上がった脱坊主の学校は中央学院のみだが、髪型に関わらずこの暑さの中、覚悟を持ってグラウンドで躍動する球児たちを自分は「推し」ていきたい。